23:キス   (診断メーカーで出たお題「神セレで無理矢理キスをする」)

「…っ」

背後から聞こえた小さな声。
振り返ると、セレスが足を抱えていた。
むき出しの足先にはしる、小さな赤い線。
「…草で切ったのか」
そう言うと、セレスはムッとした顔をして視線を泳がせた。

空を飛び回り、歩く必要のない天使たちは、自分の足というものに無頓着だ。
靴を履かない者が多く、それでいて危険なものを危険とは知らずに踏んでしまい、怪我をする。

今のセレスのように。

「見せてみろ」
しゃがんで、その小さい足に触れようとすると、セレスは慌ててその手を振り払った。
「別に、大した傷じゃないよ。君が心配するような…わっ」
意地をはるセレスを無視し、無理やり足を持ちあげると、驚いたのか小さい悲鳴があがった。

そんな珍しい声にクスリと笑みをこぼし、足の傷を見やる。赤い線はあるものの、出血はしていないようだった。
「たしかに大した傷ではないが…」
手当ての必要もない小さな傷。
大きな傷であれば癒しの術を施すところであるが。
ではせめて。

「…え!?」
顔を近づけ、その傷口にキスをした。

「嘗めておけば治る…というやつだ」
イタズラに成功した子供のようにセレスを見上げると、真っ赤な顔をして絶句していた。
そんな反応が可愛らしくてクスクスと笑うと、セレスの眉がどんどんつり上がっていき


盛大な雷が落ちた。