ツイログ 2


・一番目にリプ来たキャラと二番目にリプ来たキャラを一緒にお化け屋敷にぶち込む(8と173様)


スコールとジタンは神妙な顔をしてその看板を見上げた。

『お化け屋敷』

遊園地の奥まった場所にあるそこは園内の賑やかさとは切り離されたかのように静かに佇んでいる。
子供の姿もなく、先に入ったと思われる人の悲鳴に、無意識に唾を飲み込んだ。
「バッツのやつ、ここに入ったのか?」
「この方角に来たのは間違いない」
此処には他にアトラクションが無いため、そう考えるのが自然だろう。スコールが溜め息をつく。
バッツとジタンがスコールを巻き込む形で訪れた遊園地。2人の保護者になるべきバッツが一番子供のようにはしゃぎ、勝手に走って行ってしまったのだ。
「入る、しかないよな…」
「…そうだな」
「……」
「…………」
筆で書きなぐられた看板を見上げる二人の足は動かない。
不気味なBGMに混じって聞こえてきた女性の泣き声に、ジタンの尻尾の毛が逆立った。
「は、は…、怖いんだなスコール」
「そ……、んなわけがない。ただの作りものだろ」
「じゃあ入るんだな?」
「望むところだ」
そしてその場に留まる事、数十秒。
先に足を踏み出したのはスコールだった。そしてジタンがそれに続いていく。
スコールの服の袖を掴んだジタンの尻尾が闇の中へ誘われて行くのと同時に、バッツが反対側の出口から元気良く飛び出して行った。



入口の幕をくぐると中は暗闇で、かろうじて順路を照らす明かりだけが不気味に浮き上がっている。
ゆっくりと前へ進んでいき、先に見えたのは墓場を模したオブジェだった。そこには墓以外なにもないが、センサーに反応し怪談にありがちな笛の音が辺りに響き渡る。
「……」
墓を横目で見ながら、ジタンはスコールの腕に身体を寄せた。肩にかかる金髪の感触にスコールの意識が逸れる。
「怖いのか?」
「ちがう!寒いんだよ!」
「そ、そうだな」
ひんやりとした室内。震え上がるような寒さではないが、スコールはそれ以上は追求しなかった。
順路を曲がり、次に見えたのは古びた格子。座敷牢なのだろう。ぼろぼろになった畳が敷かれている。
その上に横たわる、人の形をした何か。
薄暗くてよく見えないのだから、そのまま通りすぎればいいのだ。しかし僅かな好奇心でつい、中を凝視してしまった。
「……っ」
それは牢に捕われたまま事切れ、肉が腐りただれた人だったもの。苦しげな声に寒気を覚えたスコールは、腕を掴んでいるジタンの手に己の手を重ねた。
「こ、怖いんだろ」
「寒いだけだ!」
汗が頬を伝うのに全身の血の気が引き、体温が下がっていくのを感じる。腕に感じるお互いの体温だけが二人の心の拠り所のようになっていた。
「……ぎゃあ!」
「どうした!?」
「なにかが尻尾に!尻尾にぶわって!」
逆立ったままのジタンの尻尾に触れたのは、壁の穴から噴射された空気。シュっと乾いた音をたて、尻尾の毛に不快な感触を与える。ジタンはたまらず、尻尾をスコールの足に巻き付けた。
「〜〜なにが!楽しんだよこれ!」
「全くだ、モンスターを相手にしたほうがよっぽどマシだ!」
天井から突如現れた幽霊に驚き、2人は抱き合いながら悪態をつく。
ジタンには金を払ってまで怖い思いをしなければならない理由が理解できず、スコールは幽霊というものがどういう原理で存在しているものか理解ができない。SeeDとして対峙するものにも異形な姿の者はいるが、それは『モンスターだから』で説明がつく。幽霊とは全くの別物なのだ。

やがて見えてきた、外の光。
出口を見つけた二人は、心底ほっとした顔で光を目指して足早に歩いていった。



「お、いたいた。どこにいってたんだ2人とも」
ふらふらになりながらお化け屋敷から生還した2人を待っていたのは、3人分のクレープを持ったバッツの呑気な声だった。
「勝手にどこかにいったのはバッツのほうだろ!」
「えー、そうだっけ? で、なんでジタン達、そんなにくっついてるんだ?」
「!!」
バッツに指摘され、漸く2人は仲睦まじく腕を組んで歩いていた事に気がついた。慌てて腕と尻尾を解くと、顔を赤くして触れ合っていた部分をさする。
あれだけ大騒ぎしていたというのに、お化け屋敷の中がどうなっていたのかはよく覚えていない。唯一残っているのは、未だ温もりの残るお互いの体温だけだった。
「早く次に行こうぜ」
差し出されたクレープを受け取り、スコールとジタンはバッツの後について歩き始めた。


互いの顔を、見る事ができないまま。









・フリーワンライ「嫌いじゃないだろ、素直になれよ」「その髪先を撫でる」(89)


「好きだぜ、スコール」
夕食後のテント内。就寝までのこの時間は、戦士達に与えられる貴重な自由時間だ。
バッツは用事がありテントの外に出ている。二人きりになったスコールとジタンは、それぞれ武器の手入れをしていた。ジタンに関してはスコールが相手にしてくれないため、暇だからしていただけであるが。
やがて手入れを終え、スコールが武器を置くと、待ってましたとばかりにジタンは尻尾を立てた。
そして座っているスコールの懐に潜り込む。こんな時は自分はこの世界では小柄な事に感謝したものだった。
膝の上に座り、向かい合わせになりスコールを見上げる。そしてにっと笑って口を開いた。

スコールの事が、好きだと。



「……っ」
さっと顔を赤くして顔を背けようとしたスコールの顔を、ジタンが両手で阻止する。
両頬を挟み込まれ、無理矢理視線を合わされたスコールの体温は高い。
「からかうな」
「オレがヤロー相手に冗談で口説いてると思ってんの?」
ジタンがスコールを好きだと告げるのはこれが初めての事ではない。
しかしジタンがあまりにもあっさりと、息を吸うように言ってのけるものだから冗談だと思われても仕方がないのだが。
「返事聞くまで言うのやめないからな」
「……」
するりと頬から手が離れていくが、ジタンはスコールの膝から退こうとはしない。自分を見つめてくる青緑色の瞳から目を逸らしながら、スコールはぽつりと呟いた。
「…俺は、あんたが嫌いだ」
「はあ? 嫌いじゃないだろ。いいかげん素直になれよ」

こんなにもジタンの事が気になっていると、全身で示しているというのに。

「ま、いいさ。必ず言わせてやるから」
ふうと息をついてジタンはスコールから身体を離した。

最後に、スコールの赤い頬にかかる髪を撫でながら。









・『RTされたら、吸血鬼×ダンピールの設定でキスから関係が始まるスコジタの小説を書きます』


※ダンピール= 半吸血鬼。外見は普通の人間と変わらないが、不死である吸血鬼を殺す力を持つ。吸血鬼ハンターを生業とすることもある。吸血鬼になった者は血液ではなく性行為を要求する事がある(Wikiより)





月明かりに照らされた白い首筋が艶かしく、その首を通る動脈に牙を突き立てたい衝動に襲われる。スコールは歯を食いしばり、ぐっとその欲を抑えた。
「まだ、躊躇ってんの?」
首元をはだけさせたジタンが青緑色の瞳を細めて口元を釣り上げる。その口から覗く牙が、彼が人間ではない事を物語っている。しかしそれは短く、スコールのもの程の鋭さはない。
「俺が血を吸われても死なないって知ったときは、がっついてきたくせにさ」
「……っ」
ジタンの首筋には繰り返し牙を入れられた傷痕がある。ジタンはその痕を愛おしげに指で撫でながら、スコールの目の前に詰め寄った。
「俺は半分吸血鬼だからな。血を吸われても他の奴らみたいに血を求める吸血鬼にはならないし、死んだりしない。良い餌を捕まえたくせに『食わない』なんて、贅沢だなぁ」
「…捕まえているのは、お前のほうだろう」
俺を。とスコールが続けると、ジタンは声を出して笑った。
「わかってんなら、いいけどさ」
ジタンは右手の人差し指の爪を鋭く変形させると、己の首へと突き立てた。
流れ落ちる赤い血液に、スコールは無意識に喉を鳴らす。
「お前を殺せるのは、半吸血鬼である俺だけ。俺の血を飲まないと、お前は飢えて死ぬ。…お前の命ごと、お前は俺のものなんだよ」
血の付いた指を口元に押し付けられ、スコールの唇が赤く染まる。ジタンはそれを舌で舐め取ると、スコールの手を取って、首元へと触れさせた。
そして己が陥落させられてしまうのを感じたスコールは大きな息をついて項垂れた。今宵も、目の前の小さな半吸血鬼の誘惑に屈してしまうのだろう。
スコールは血の跡が残る首へと唇を寄せる。そしてゆっくり牙を入れていいくと、ジタンの喉が震えるのを感じた。

今夜も、彼は笑っていた。