はた迷惑な罠2



前回のあらすじ:宝箱の罠にかかりました。


「ごめんね、ジタン……」
「いや、ティナのせいじゃないからさ」
宝箱は二人で開けたのだから、責任があるのであればお互い様だ。落ち込むティナを宥めながら、ジタンはきつくなったベストの合わせを開けた。
「ジタンは女の子になっちゃったね」
ティナの視線の先、服を緩めたジタンの胸元には大きな膨らみができている。ジタンはそれに恐る恐る触れてみると、柔らかな肉に指先が沈んだ。滅多なことでは味わえないその感触は、自身のものでなければ素直に喜べただろう。
「これはつまり、あれだよな」
「うん。治す方法は前の時と同じみたい」
宝箱の中に入っていた紙を見ながら答えるティナの体には、一見変化はない。しかし前回の事もあり、今回も同様に半端に体が変化していることは容易に察せられる。何故かジタンの体だけは、完全に女性になってしまった様だが。
「とにかく早く治したほうがいいな」
「ちょっと、ドキドキしちゃうね」
「うう……」
二度目という事もあり、冷静に対処しようとするジタンに、ティナがそう可愛らしい事を言う。
しかしジタンはまたしても抱かれる側で、とても胸の高まるシチュエーションではなかった。



ジタンはテントの陰から、野営地の中心に集まる仲間達の様子を伺い、気付かれぬよう気配を殺しながらティナのテントへと移動していった。紅一点である彼女のテントに無闇に近付く者はおらず、今回はそれを利用させてもらうつもりだった。二人でテントに入る所を目撃されるのを回避するために、ティナには先にテントに向かってもらっている。
「こんなのがバレたら、絶対に面倒な事になるし……」
ティナの控えめな膨らみとは対照的に、ジタンのそれはいささか刺激的な大きさをしている。マントがあれば身を隠せたのだが、腕で隠しきれない胸に、この時ばかりは普段の軽装を恨めしく思った。
「面倒って、何が?」
「そりゃ、特にあいつらに見つかったら……って、うわっ」
背後からかけられた声に、ジタンが体を硬直させた。
そして冷や汗をかきながら後ろを振り返ると、そこには一番知られたくない相手────バッツとスコールが立っていた。
「何だ、こそこそと」
「それに何でジタンは女の子になってんの?」
「……っ」
ジタンは慌てて胸を押さえて隠そうとしたが、却ってその行動が決め手となってしまった。

「あら?」
テントに入って来ないジタンの様子を見るために外を窺ったティナが見たものは、バッツとスコールに囚われた宇宙人のように両腕を捕獲されているジタンの姿だった。
「見つかった……」
「見つけちゃった」
陽気な声を出すバッツとは対照的に、ジタンは声から尻尾の先まで地面に沈んでいる。
「ティナがいるという事は、二人の間の問題なのか?」
「えっと……」
(話してもいいのかな)
そう視線で問いかけるティナに対し、ジタンは力なく頷く事しかできなかった。



「二人の状況は分かったけど、前にもこんな事があったのか?」
「うん。その時は私だけだったのだけど、ジタンに助けてもらったの」
「……つまり」
さすがのスコールもその言葉の意味する事を理解できた様で、眉間に深い皺を寄せる。
「ジタンが浮気した……」
「浮気とか言うな」
わざとらしく泣き真似をするバッツに、ジタンは呆れたように言い返す。二人とは体の関係はあれど、恋人というわけではない。行き過ぎた友情と言ったほうがしっくりくる。
「例えば、二人が別々の人としても戻るのか?」
「ううん。今回は二人で宝箱を開けたからだめみたい」
宝箱を開けた者同士で思いを交わさないと元には戻らない。それにバッツとスコールは神妙な面持ちになる。
「うーん……。ジタンは女の子になるのは初めてだよな」
「当たり前だろ」
「つまりは女の子としては初めてって事になるんだよな」
「うん……?」
理解が追いついていないジタンの肩をバッツが力強く掴むと、バッツは真剣な顔をしてティナを見やった。
「非常事態って事は分かってるけど、ジタンの初めては渡せないな」
「……!」
バッツの言葉にティナははっとした表情で口元を押さえた。そして頬をほんのりピンク色に染め上げる。
「確かに女の子の初めては大切だわ。ごめんなさい、私ったらそんな事に気付かなくって」
「え、え……?」
「そうか、そうなるな……」
「スコールまで何言ってるんだ?」
ジタンは真面目な顔をして考え込む三人の顔をそれぞれ見やる。
ここにいる全員がジタンの初物に対し、思いを馳せている。当のジタンはすっかり置いていかれてしまっているが。
「分かってくれてありがとな。ぺろっと頂いてくるから待っててくれるか?」
「うん、隣で待ってる」
「ん……?」
そして再び腕を引かれ、入って行ったのは目の前にあるテントの中。
最後にティナが続いて入口の幕をくぐると、それは軽い音を立て、静かに閉じられた。



「あのさ……」
「ん? 往生際が悪いぞジタン」
「いや、もう諦めてるよ、それは。でもさすがにティナに見せるのはどうかと……」
体を元に戻すにはティナに抱かれなければならず、その前に抱くことをバッツとスコールは譲る様子はない。二人については諦めて身を委ねるつもりではあるが、あえてそれをティナに見せる必要はないのだ。
「気にしないで。見るのは初めてじゃないから」
「そういえば……」
そもそも三人でしている所を目撃されていたのが、前回ジタンに白羽の矢が立った原因である。気にしているのはジタンばかりで、ティナは平然としてる様子だった。
「何か気を付ける事はないか?」
「胸は強く掴まないでね。結構痛いから」
「分かった」
「……」
スコールですらティナとそんなやり取りをしている。自分だけ気を使っている事が馬鹿らしくなったジタンは、半ば自棄になって自分を抱えるバッツの胸に体重を預けた。
「ほらジタン。ばんざーい」
「わっ」
既にベストを脱いでいたジタンが来ているのは、白いシャツだけだ。それを頭から抜かれ、白い肌が露になる。シャツに圧迫されていた胸がすっと楽になり、ジタンはふうとため息をついた。そしてふと前を見やると、スコールが顔を赤くして固まっていた。
(触り方とか聞いてたくせに……)
いざ実物を見て、想像と現実の差に衝撃を受けたのだろう。当のジタンも己のものとはいえ、その大きさと質感に思わず目を逸らしてしまうくらいだ。
「ジタン、男でよかったな……」
「……だな」
男としての自分がバッツの言葉に同意する。男所帯の中でのこれは大変だろう。主に相手が、だが。

「うわ、やわらか……」
ジタンの胸に触れたバッツがため息をつくようにそうもらす。
「なんか、くすぐってえ」
ふにふにと軽く揉まれ、性的な感触よりもくすぐったさのほうが勝る。そんなバッツの手の動きを目で追っていると、同じように胸に視線を送っている者がいた。スコールだ。
「……触る?」
「……っ」
スコールは顔を赤くして動揺したが、すぐに小さく頷いた。そしてジタンの前に膝を付くと、手袋を外してそっと柔らかな肌に手のひらを触れさせた。ティナに言われた事を守っているのか、触れるというより添えると言うほうが近い。
「や、柔らかいな……」
「そうしみじみ言われると恥ずかしいんだけど……」
スコールが口にした内容はバッツと変わらないのだが、頬を染めてそんな風に言われてしまうと、ジタンもつられて顔を赤くしてしまう。その上、力の入っていない指で皮膚をなぞられると、直接掴まれた時とは違い、むず痒いような感覚が走った。
そして形を確かめるようにゆっくり動いた指が胸の先端に触れた時、それは突然強い刺激となって背筋を一気に駆け抜けていく。
「あ……っ」
思わず口から出た声にスコールが驚き、咄嗟に手を引っ込めた。
「やっぱり、そこが感じるのは同じなんだな」
「あ、こら……っ」
背後からバッツの声が聞こえたと同時に指で先端を摘ままれ、ジタンが抗議の声を上げる。そんなジタンを宥める様にバッツはジタンの首元に唇を寄せ、肌を強く吸い上げた。
「……っ」
それにジタンが首を竦ませていると、今度はスコールが胸に顔を寄せ、柔らかな肌に口を付け、小さな赤い痕を残した。双方それぞれの位置からでは残せない場所に付けられる痕に、二人が変に張り合っているのだと気付く。三人で行為をする際、時々そんな牽制をしあう事がある。
普段、首などの目立つ場所には痕を残さないという暗黙の了解があるのだが、常とは違う雰囲気に流されているのか、タガが外れてしまっているらしい。耳の後ろに吐息を感じ身を震わせながら、しばらくはマント生活だなとジタンは諦めの心境になった。

「ぬ、脱がせるぞ……?」
「……うん」
スコールが緊張気味にそう告げ、ジタンのズボンのベルトに手をかけた。
かちゃりと音を立ててベルトが落ち、ズボンと下着を引かれるとその下の肌が外気に晒される。胸と反比例して下肢が軽くなっていたので変化は察していたが、少なくとも今のジタンも女性器を目にするのは初めてである。スコールは言わずもがなで、ズボンを置いた手が止まっていた。バッツも後ろから覗き込むばかりですぐに手を出してこようとはしない。
「…………」
テントの中で自分だけが裸にされた上に、前後からの視線にいたたまれなくなったジタンは、もじもじと太股を擦り合わせるように足を動かした。
「あのね」
「うわっ」
そんな三人に声をかけたのは、それまで大人しく待っていたティナだった。背後から声をかけられたスコールが驚き、つい声を上げてしまう。
「女の子の場所は、ここなの」
「……ひゃっ」
ティナの細い指がジタンの下肢のある一点に触れると、その指先が僅かに中に食い込んだ。
すぐにその指は離れたが、その際に小さく水音が聞こえ、ジタンの顔が赤くなる。
「でもいきなりはダメ」
「そ、そうだな。優しく……か」
ティナの言葉に素直に頷くスコールは一見微笑ましい。会話の内容が此れでなければ。
「じゃあ、ここは?」
「────っ!」
バッツが触れたのは、先ほどティナが触れた場所よりも少し上、小さな突起がある場所で、軽くつつかれただけだ。にも関わらず尻尾の根元から軽く痙攣し、体の奥に重い衝撃が走る。ジタンは思わず、バッツの腕を挟むように足を強く閉じてしまった。
「バ、バッツ、そこはやばい……」
「ん? 気持ち良い?」
「や、やめ……あぁっ」
今度は指先で潰すように押され、ジタンの口から高い声が上がる。そのままぐりぐりと擦られ、尻尾の毛がぶわりと逆立つが、身を捩ろうにも後ろからしっかり抱え込まれていてそれも叶わない。
「あ、あ……っ」
「そんなに声出したら、外に聞こえちゃうぞ」
「バ、バカッ」
そんな意地悪を耳に吹き込まれるが、耳にかかる吐息にやや高めの熱を感じた。ジタンの反応にバッツも興奮してきているのだ。そう思うと、バッツの胸と密着している背にもぞくりとした感覚が走る。
「ん……っ?!」
そうバッツに気を取られていると、逆立っている尻尾の毛に何かが触れる感触がした。自由にならない体の代わりに、せわしなく地面を撫でていたそれを、誰かが掴んだのだ。
「ふかふか……」
そんな尻尾を持ち上げ、抱きしめてきたのはティナだった。ふわふわに逆立った毛に頬擦りし、うっとりとしている。抱きしめられた尻尾にささやかな膨らみが触れているのを感じるが、今はそれを意識している余裕は無い。
「ティナ、今それは……」
「ふわふわ……」
優しい手付きで毛を逆撫でるように撫でられ、ただでさえ敏感になってきていたジタンは涙目になる。
「少し濡れてきたな……」
そう確認するかのように呟いて下肢に触れてきたのはスコールだった。バッツに弄られた事によって湿度が上がったそこに指先を差し入れ、ゆっくりと挿入され、乱れていたジタンの息が一瞬止まる。
第一関節ほどしか挿入されていないとはいえ、初めての感覚に体に緊張が走る。しかしそこは先程ティナが触れた時よりも簡単にスコールの指を受け入れてしまった。スコールが呟いた通り、体液の分泌が増えていたためだ。
「ん……っ」
「痛いか?」
「変な感じはするけど、平気……、あっ」
言葉が終わる前にバッツに胸の先を弄られ、びくりと反応した体は僅かに挿入されていたスコールの指を強く締め付けてしまった。
「──っ」
そんなジタンの反応に驚いたのはスコールのほうで、指に絡み付く粘膜にごくりと唾を飲む。この後にする事を想像してしまったのかもしれない。
一瞬怯んだ指だったが、それは抜かれることはなく、中を傷つけぬよう注意を払いながら、ゆっくりと奥まで侵入してきた。
「ん、ん……っ」
異物感はまだあるものの、男の体とは違いスムーズに受け入れていく中は滑りで痛みを感じることもなく、しかし筋張った指の存在を内壁全てで感じとってしまうのか、中がひくりと疼き始める。
「ジタン、こっちにも集中してくれよ」
「ひゃっ、あ……っ」
バッツが胸に触れているものとは逆の手で、再びジタンの下肢に触れてきた。そこはもう十分に濡れそぼり、その指に体液がまとわり付く。
その指で体液を擦り込むように突起を擦られると、ジタンの体がびくりと痙攣した。
「尻尾、すごくふわふわ……」
「三人とも、同時はまずいって……っ、あっ──」
最後にスコールが中で指を曲げた時、ジタンは一瞬体を硬直させると、中の指を強く締め付けながら体を跳ねさせた。同時に尻尾も大きくうねり、ティナの手元から外れていく。
「おっと」
直後に力の抜けた体をバッツが支え、汗で湿ってきた髪を撫でた。まだ指を抜いていないスコールは、そのまま硬直して顔を赤くしている。
「中、そんなにやばい?」
「…………」
バッツの問いかけに、スコールは黙って頷く。
「ジタン、へばってる所ごめんな」
「……ん……っ?」
バッツが脱力しているジタンの足をぐっと開かせる。そんな様子をジタンは他人事のようにぼんやり見つめていた。
「最初の最初はスコールに譲ってやる」
「どういう事だ……?」
「後が面倒くさそうだから」

(確かに……)

スコールはそういう所は後に引きずりそうだなと、ジタンも納得してしまう。己の『初めて』にそんなに価値があるのかは甚だ疑問だが。
「だから、おれはこっちな」
「……っ」
そう言い、バッツはジタンの体液で濡れた指を尻尾の下の窪みに、慣れた手つきで差し込んできた。
本来、外側から受け入れるような器官ではないはずのそこだが、男の体で抱かれ慣れているジタンにとっては、前に挿入されるよりも受け入れし易くなっている場所でもあった。
「まさか……」
「だってさ、前だけで三人分できるのか?」
「む、無理……」
男と違って外に出さない分、無理が利くとはいえ、先程一度達しただけでかなりの体力を奪われてしまったのだ。それが何度もあるのかと思うと気が遠くなってくる。
「ごめんな、おれも我慢できそうになくて……。女の子の場所は次はおれがもらうってことで」
「次なんてないけどな……」
不吉な事を言うバッツにジタンが嘆くが、ティナに二回目があった事を考えると笑えない冗談である。
ジタンは床に手をつき、力の抜けた体を懸命に起こすと、目の前にいるスコールの下肢に手を触れさせた。そこはズボン越しでも分かる位には硬くなっている。バッツが我慢できないと言っていたくらいだ、スコールもそうなっていないはずがない。スコールのズボンの合わせを緩め、中の熱に触れると、どくりと脈打つように更に硬さが増す。その質量にジタンはごくりと息を飲んだ。
そして、その熱に手を触れたまま、スコールの上に身を乗り出す。
「おい……?」
「自分で、その……入れたほうが、加減がしやすいからさ」
「わ、分かった」
スコールの視線に気恥ずかしくなり、ジタンは頬を赤くして顔をそらす。普段、スコールを翻弄する側にいる事の多い彼の珍しい反応に、スコールもつられて視線を落としてしまった。
「二人で雰囲気作るのずるいぞ」
向かい合わせの至近距離で顔を赤くしている二人に、バッツが野次を飛ばす。
灯りをともさず、薄暗く視界の悪いテントの中とはいえ、ティナに男性器を見せる事に未だ抵抗感があり、悪あがきだと思いつつも、ぼさぼさにされてしまった尻尾で隠すようにしながら、スコールの熱を濡れたその場所にゆっくりと押し付けた。
「ん、ん……っ」
指とは比べ物にならない質量のものが内壁をこじ開けてくる感触に、背筋に緊張が走る。しかし熱を押し出すように強張っていたのは一時だけで、体液の滑りも手伝い、先端の張り出した部分が中に入るやいなや、それはぬるりと奥まで滑り込んできてしまった。
「ひゃっ」
男の体で受け入れていた時には無かったようなスムーズさだ。思いのほか深い所にまで入ってしまった熱に、ジタンの気持ちのほうが追いついていかない。
「大丈夫か……?」
「へい、き……、んっ」
スコールが身じろぎをした刺激で中のものを締め付けてしまい、中に入っているものの形を内壁全体で感じ取ってしまう。
「じゃあ、こっちも平気かな……?」
背後にいるバッツの声が聞こえるのと同時に、尻尾の下にぴたりと押し付けられた硬い物。ジタンはそれが何かをすぐに察し、ぎゅっと目を閉じる。
そしてバッツは慣れた手つきでジタンの双丘をこじ開けると、ゆっくりと中に挿入させてきた。多少濡らしているとはいえ、やはり前に比べると抵抗感が強い。
「あ、あ……っ、きっつ……」
前から後ろから太いもので体を貫かれ、息苦しさにジタンが大きく息をは吐く。
「痛いか?」
「へい、き……」
痛みが無いわけではないが、僅かな動きでも擦れてしまう部分は熱を持ち、一度達してしまっている所為で時折内壁がひくりと脈打ってしまう。
「……っ」
きゅっと締め付けられ、浅く息をついたのはスコールだった。バッツに後ろから貫かれ、スコールに体重を預けている形になっているジタンの腰に手を触れると、ジタンは背を震わせてスコールの肩に額を押し付けた。その歳に首筋の赤い痕がスコールの視界に入り、吸い込まれるようにその上から同じ痕を残す。
ジタンはそんな風に近くなったスコールのにおいに気を取られていると、腰に当てられた手に力が入り、それまで様子を伺っていたスコールが動き出した。
「んぁ……っ」
ぐっと腰を押し付けられ、根本まで挿入されたのを肌で感じる。それでもジタンが痛がる様子が無いからだろうか、突然動きが大きくなり、抜けそうな場所まで一気に引かれた。そこから再び中へ押し込められると、泡立った粘膜の音が静かなテントの中にやけに大きく聞こえる。
「やらしい音」
「ひぅ……っ」
そう、ぼそりとバッツが呟くと、彼もまたジタンの中に深く埋め込んできた。後ろは前ほどの滑りはないものの、抱き方はとうに熟知されてしまっている。バッツは手慣れた動作で傷を付けぬよう、中を抉ってきた。
「んあ、あ……っ」
下肢を尻尾で隠す余裕もなくなり、ゆらりと尾を大きく揺らすと、腰に触れているバッツの腕にそれを巻きつけた。そんな尾の先端に軽く口付けをしたバッツがぐっと腰を引く。それとは逆にスコールは奥まで入り込んで来るのでジタンは堪らず生理的な涙を浮かべた。咄嗟にスコールに抱きつく手に力を入れると胸が二人の間で圧迫され、その感触に反応してしまったのか、中にいるスコールの質量が増えるのを感じた。
「く……っ」
後ろでバッツが動くと体が揺れ、動きが不規則になる。何もかもが常とは違うこの状況に耐えかねたのか、スコールから呻くような声が漏れる。
そしてジタンの背中と腰をきつく抱きしめると、小さな体を己の体に叩きつけるようにして中を擦りあげた。
「あっ、あ──っ」
「…………っ」
そのまま、外に出すという意識が向かう隙もなく中に熱いものが注ぎ込まれる。体の奥に広がるものを感じ、ジタンは目をぎゅっと閉じて耐えた。
「ん……っ」
出しきったスコールがずるりと中のものを抜くと、中から溢れたものが雫となって太ももを伝う。
漸く下肢を圧迫するものが減り、ジタンが深く息を吐き、呼吸を整えていると、後ろから強く腕を引かれた。
「おれはまだだぞ?」
「ひぅっ」
腕を引かれるまま上半身をぐっと立たされ、今度は自重がバッツのほうへかかってしまう。汗でしっとりと濡れた胸が揺れ、目の前にいるスコールが顔を赤くしていた。これでまたスコールが元気になってしまったら流石に身が持たないと、涙の溜まった目で軽く睨み付けると、彼は慌てて目を反らした。
「んあ……っ」
そんなジタンの心境を知らないバッツが、ジタンの尻尾の付け根を握りしめた。
前から垂れるもので後ろの入口に滑りが帯びる。バッツはそれを中に塗り込むように擦り上げた。
「あ、あ……っ、イきそ……っ」
「もう少し我慢な」
「うう……」
先程のスコールの時に達するのは耐えたが、快感を拾い慣れている後ろに息つく間もなく刺激を与えられてしまうと、またすぐに限界を迎えそうになってしまう。
ジタンが捕まれていない方の手を床に付き、耐えていると、前にいるスコールが何かに気付いて動く気配を感じた。
そして視界に入った細い足に、ジタンは顔を上げる。スコールと入れ替わるようにしてジタンの前に来たのは、困りきった様子のティナだった。
「あのね、ジタン。私……」
ティナは恥ずかしそうにワンピースの端を掴んでいる。
そこは服の上からでも分かるほどに、本来は彼女に付いていないはずの雄が主張していた。
三人の性行為を目の前で見せつけられ、何も感じないはずがなかったのだ。何よりもティナは前回の経験から、男として感じる快楽を知ってしまっている。
「あ……っ、ごめん、気付いてやれなくて……」
「そんな……、いいの。ジタンのほうが大変なんだから」
「はは……」
バッツが二人のやりとりに気付き、動きを止めた。
どのみちティナにも抱かれなければならないのだ。しかし、先程スコールにしていたように彼女にのしかかるわけにもいかない。
気を利かせたバッツが掴んでいた腕を離すのを確認すると、ジタンは前屈みのまま、ティナの服に手をかけた。
男性器が付いてしまった部分以外は女性の体のままだ。最低限、男性器だけが露出する程度に彼女のタイツを下ろす。
そこは硬さはあるものの、まだ挿入ができるほどではない。行為に慣れている二人とは違うのだ。
「えっと、じゃあ……」
ジタンはティナに座るように促すと、足の上に上半身を乗り出した。
そして少し躊躇しながらも、膨らんだ胸でティナのものを間に挟み込んだ。
「……!」
「あ、ずるい」
それに驚いたのはバッツとスコールのほうだ。先にジタンを抱くという事に気をとられ、そういった行為を楽しもうとする意識が向かなかったらしい。バッツは分かりやすく悔しがった。スコールは何も言わないが心の声はだだ漏れである。
「し、仕方ないだろ。ティナ、大丈夫そうか……?」
「う、うん。すごく柔らかくて気持ちいい……」
ティナに拒絶の意志がない事に安堵すると、ジタンは胸で彼女のものを擦り上げ、間から見える先端に口を寄せた。そこを軽く吸い上げると、胸の中のものは一気に固さを帯びていく。
「……んぅっ」
その時、ふいにバッツが動きを再開させた。
それにジタンは咄嗟に口を離したが、背中に体重をかけられてしまい、ティナの下肢に半身を預けたままになってしまう。バッツが動く度に胸の中のものも擦られ、少し落ち着いたはずの熱は容易く再び点されていった。
「バッツ、待てって……っ」
「ジタンが悪いんだぞ」
拗ねた子供のような声は、ティナにしたことに対して嫉妬しているのか。ぐっと奥に付き入れられるのと同時に濡れている前に触れられると、ジタンの背が大きくしなった。
「あっ、あーーっ」
ジタンが耐えきれず達してしまったと同時に、後ろの中にも熱い液が放たれる。二回目の絶頂に床に倒れ込みそうになった時、バッツが咄嗟にその体を支えた。
「は、はぁ……」
後ろに埋め込まれていたものも抜かれ、ジタンが完全に脱力する。体を床にぶつけない様にバッツがその体をゆっくり横たえさせると、足の間からは二人分の精液が溢れた。
「ジタン……」
か細い声で呼ばれ、ジタンは朦朧とした意識の中でティナを見上げる。
「ごめんね……」
「……あっ」
ティナも我慢の限界なのか、そんな風に謝りながらジタンの体の上にのしかかってきた。
「ひぁっ、う……」
どろどろに濡れたそこは痙攣しながらも、ティナのものをすんなりと受け入れてしまう。すっかり過敏になってしまった体は挿入だけでも刺激が強すぎ、痛みに近い感覚となる。
ティナが謝りながらジタンを貫く姿はやけに背徳的で、バッツとスコールは息を飲んで見入ってしまっていた。
「あ、あ……っ」
「気持ちいい……?」
「ん……っ」
ティナの問いかけにジタンは訳も分からずこくこくと頷くと、ティナは安堵した表情を見せた。
「ごめんね、あと少しだから……っ」
ぐちぐちと二人の体の間から発せられる音がやけに大きく聞こえる。ジタンは力の入らない手でテントの敷布に爪を立てると、再び奥から込み上げてくる熱に目を瞑った。
「──っ」
やがて何度目かの熱が体内に注がれると、ジタンの下肢が弱々しくひくついた。軽く達してしまったのだ。
ジタンの意識はそこで途切れ、ぐったりと床に体を沈めた。
その直後に二人の体は元に戻ったのだが、一人裸のままのジタンは男としての体をティナの前に晒してしまう事となる。我に返ったバッツがすぐにマントで体を隠したが、この事はジタンに伝えられる事はなく、三人の間の秘密とされた。



それからというもの、ひずみの中で宝箱を見つけてはジタンは逃げ腰になってしまうようになった。
それとは逆にバッツは宝探しに力を入れるようになり、ジタンに開けさせようと躍起になっている。
「絶対に嫌だからな。バッツが開けろよ」
「おれが女の子になっても面白くないじゃん」
「なんで罠にかかるのが前提なんだよっ」
そんな口論をしつつ、ジタンは宝箱に近付かぬよう、棒で箱を突っついたりしている。
事情を知らない大半の仲間達はそんな珍妙な光景をただ不思議に思うばかりだった。