怪盗Z 5.5 (軍人さんと役者さん)
結局花火見れないんじゃ…と言われたので、翌年以降の花火大会。


赤や緑の光が白い肌に反射している。
何の為に時計台の上にまで登ったのかと思うが、花火の光に照らされる肢体を楽しんでいるのだから意味はある。そう自分に言い訳して、レオンは浴衣がずれて剥き出しになったジタンの肩に軽く歯を立てた。
「あっ」
その小さな刺激にも敏感に反応を示し、ジタンの身体に力が入る。同時に締め付けも強くなり、与えられる刺激をレオンは歯を食いしばって耐えた。
抱きかかえているジタンの腰に当てていた手を下にずらすと、その腕に尻尾が絡み付いてくる。しかし腕の動きを制止する力はなく、尻尾を巻き付けたまま浴衣の端から手を差し入れた。


こうして前を大きく開けても背後はきちんと隠す浴衣という物は便利だな、とレオンは思う。
屋外で、広場にいる大勢の人間に見られてしまうかもしれない場所での行為に、当然ジタンは難色を示した。
しかし向かい合えば肌は見えないし、万が一広場にいる人間が時計台の上にいる人影に気付いたとしても、何をしているかなど分からないだろう。そう後戻りできない状態にいたレオンが理由をこじつけると、ジタンは渋々それに応じた。今まで応じなかった事はないのだが。
下に聞こえるはずもないのに声を抑えているのが不満だったが、無理をさせているのは分かっているので大目に見る事にした。


肩を抱き込む様にし、浴衣に侵入させた手で直接尻を鷲掴む。そのままぐっと力を入れるとジタンが小さく悲鳴を上げた。
「む、無理だって…っ」
「まだだ」
「───ひっ」
制止の声に聞く耳も持たず、掴んだ尻を自分の股間に押し付ける様に力を込める。ゆっくりとではあるが、未だ内部に収まりきっていなかった部分が粘膜に包まれていくのを感じ、レオンは満足気に息をついた。
ジタンがどっと汗をかいたのを肌で感じつつ、一度収めたものを引きずり出し、再度埋める動きを繰り返す。花火が大きな音を発しているにも関わらず、繋がった部分からは濡れた音がはっきりと聞こえていた。
それはジタンも同じようで、羞恥に顔を赤くしてレオンの肩に顔を埋める。そして次第に激しくなっていく動きに耐える様に、青い浴衣の襟に噛み付いた。
「はっ…、見なくてもいいのか、花火」
「………っ」
動きを緩める事のないままレオンがそうジタンに言うと、ジタンがくぐもった声を上げる。肩に顔を埋められていて表情は見えないが、睨まれているのは間違いないだろう。

周囲の歓声や花火の音にそろそろ終わる頃だとは感じたが、上り詰める事に集中する為に外部の音を意識から遮断させた。お互いの荒い息と、ぐちゃぐちゃという淫猥な音だけが聞こえてくる。
「ん、んん…っ」
「ふ……」
腹に当たるジタンのものが限界を迎えそうになっているのに気付き、レオンは薄らと閉じていた目を空けた。その視界に巨大な花火が咲いているのが見えたが、ジタンがそれを見れているかは定かではない。
「あ、あ───っ!」
浴衣から口を離し、ジタンが身体を痙攣させながら声を上げた。
脈打ちながら全体を締め上げる内部に、今度は耐えることはせずにレオンも全てを注ぎ込んだ。



途端に脱力したジタンを落とさない様に、胸の中に抱き込む。花火はとうに終わっていて、広場にいた人々がぞろぞろと道に移動して行くのが見えた。
「大丈夫か?」
「……ん」
肩を上下させ、意識が半分飛んでいるジタンからは吐息の様な返事しか返ってこない。挿れていたものを抜き出す時の濡れた音が静かになった場所に生々しく聞こえる。もう少し繋がっていたかったが、花火が終わってしまっては此処に留まる理由はない。
「…仕切り直しだな」
「………」
そう呟くとジタンがゆっくりと目を開いた。涙に濡れた目と吸い過ぎて赤くなった唇にレオンが唾を飲む。
開けた浴衣を簡単に整え力の抜けた身体を抱き上げて、地上に繋がる階段へと足を向けた。もう少し人が退くのを待ちたかったが、半端に解消した熱で我慢できそうにもない。

明日絶対に怒られるなと、そう思いながらも自宅へ向ける足の速度を落とす事はなく。
人の多い道を避けながら、二人は夜の闇に消えて行った。